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「クマの王国ってどういうこと?」カドリードミニオンが阿蘇にある理由と、その歴史

「ドミニオン」って何語?

阿蘇にある“クマの王国”カドリー・ドミニオンの名前と歴史

熊本県阿蘇市にある、動物ふれあいテーマパーク
阿蘇カドリー・ドミニオン

名前だけ聞くと、少し不思議です。

「カドリー」って何?
「ドミニオン」って何語?
なんだか外国のテーマパークみたいな響きがあります。

実はこの名前、英語から来ています。

Cuddly は「抱きしめたくなるような」「愛くるしい」。
Dominion は「領域」「王国」という意味。

つまり、カドリー・ドミニオンは直訳に近い感覚で言うと、
“抱きしめたくなるような動物たちの王国”

かわいいようで、ちょっと強い。
やさしいようで、妙にスケールが大きい。

しかもこの施設、もともとはもっと直球の名前でした。

その名も、阿蘇熊牧場

はじまりは、60頭のクマだった

阿蘇カドリー・ドミニオンの始まりは、1973年7月。
当時の名前は「阿蘇熊牧場」でした。

公式の沿革によると、最初は60頭の熊から始まった、熊に特化した観光施設だったそうです。お客さんはクマを見学し、おやつをあげることを楽しんでいました。

今でこそ、動物とのふれあい、ショー、子ども向けの体験など、いろいろな楽しみ方がありますが、出発点はかなりシンプルです。

阿蘇の大自然の中で、クマを見る場所。

それが、カドリー・ドミニオンの原点でした。

「熊牧場」という名前には、昭和の観光地らしい分かりやすさがあります。

何がいるのか。
何を見る場所なのか。
一発で伝わる。

今のように、横文字で世界観をつくるというより、
“クマがいる。見に来てください”
という、まっすぐな観光施設だったわけです。

ただの熊牧場では終わらなかった

面白いのは、阿蘇熊牧場がただクマを見せる施設のまま終わらなかったことです。

1979年には、干支を祀った観光庭園「十二支苑」がオープン。
阿蘇を背景に、池や滝を配した広大な日本庭園だったとされています。

さらに1980年代に入ると、施設は少しずつ“見る動物園”から“ふれあう動物園”へ変わっていきます。

1985年には「ふれあい動物村」。
1988年には、熊の生態や特徴を楽しく見せるためのショーステージ「カドリーホール」。
1989年には「ちびっこパーク」。
1990年には「乗馬コーナー」。
1993年には「こぐま広場」。

こうして見ると、カドリー・ドミニオンは、ある日突然リニューアルして別物になったというより、
少しずつ“クマを見る場所”から“動物と時間を過ごす場所”へ変わっていった施設なんです。

「阿蘇熊牧場」から「阿蘇カドリー・ドミニオン」へ

そして1998年3月。
施設名は「阿蘇熊牧場」から、現在の
阿蘇カドリー・ドミニオン
へ変更されました。

ここで名前の意味が、ぐっと効いてきます。

「カドリー」は、愛くるしい。
「ドミニオン」は、領域、王国。

公式サイトでも、この名前には
“抱きしめたくなるような可愛い動物たちとふれあえる王国”
という意味合いがあると説明されています。

つまり、名前の変更は単なるイメージチェンジではありません。

「クマを見る施設」から、
「動物たちとふれあう王国」へ。

施設が目指す方向そのものを、名前で宣言したようなものです。

個人的に、この変化はかなり面白いと思います。

だって、昔の名前は「熊牧場」。
ものすごく分かりやすい。

でも新しい名前は「カドリー・ドミニオン」。
ちょっと考えないと意味が分からない。

その分、名前の中に世界観があります。

クマだけではなく、犬、ミニブタ、アルパカ、モルモット、鳥、馬など、いろいろな動物たちが暮らす場所。
ただ見るだけではなく、ふれあい、ショーを見て、時間を過ごす場所。

だからこそ、ただの「牧場」ではなく、
“動物たちの王国”
という言葉が似合うようになったのだと思います。

熊本地震のとき、動物たちはどうなったのか

カドリー・ドミニオンを語るうえで、もう一つ外せない出来事があります。

2016年の熊本地震です。

阿蘇地域も大きな被害を受け、カドリー・ドミニオンも被災しました。
公式の記録によると、園では震度6弱を記録し、被災直後は水道、電気、ガスなどのライフラインがすべて止まったそうです。

園内では、ガラスが割れたり、建物に軽い傾きが見られたり、事務所や売店の商品が床に散乱したりと、かなり大変な状況だったことが分かります。

それでも、幸いなことに、
スタッフも動物たちも全員無事
だったと公式サイトに記されています。

ここが、胸に残るところです。

観光施設が被災したと聞くと、建物や営業再開のことに目が向きがちです。
でも、動物園や動物施設の場合、そこには“命”があります。

電気が止まる。
水が止まる。
ガスが止まる。
人間だけでも大変な状況の中で、動物たちの水、エサ、体調管理を続けなければいけない。

公式の記録では、水は近くの湧き水を汲みに行って確保したとされています。避難所で寝泊まりしながら、動物の飼育管理を続けたスタッフもいたそうです。

“かわいい動物たちの王国”という名前の裏には、
災害時にもその命を守り続けた人たちの姿がありました。

半月後には再開していた

さらに驚くのは、その後の早さです。

熊本地震の被災後、カドリー・ドミニオンは休園しましたが、公式の沿革によると、スタッフの努力により被災から半月後の2016年5月1日には開園できたとされています。

もちろん、完全に元通りというわけではなかったはずです。

それでも、動物たちが無事で、スタッフが守り続け、再びお客さんを迎える場所に戻っていった。

この流れを知ると、カドリー・ドミニオンという名前の印象も少し変わります。

ただのかわいい施設名ではなく、
動物たちが暮らす場所を守るという意味での“王国”
にも見えてくるんです。

「クマの牧場」から「動物たちの王国」へ

阿蘇カドリー・ドミニオンの歴史をたどると、ひとつの流れが見えてきます。

最初は、60頭のクマから始まった「阿蘇熊牧場」。
そこから、クマの見学だけでなく、ショーやふれあい体験が増えていきました。
そして1998年、「阿蘇カドリー・ドミニオン」へ。

名前の中にあるのは、
かわいい動物たちとふれあえる王国
という意味。

でも、熊本地震を乗り越えた歴史まで知ると、そこにもう一つの意味が重なります。

それは、
動物たちの命を守り続けてきた場所
ということです。

「クマの牧場」から「クマと動物たちの王国」へ。

そう考えると、カドリー・ドミニオンという名前は、ただおしゃれな横文字ではありません。
阿蘇の自然の中で、動物たちと人が積み重ねてきた時間そのものを表しているようにも見えます。

もし今度訪れるなら、ただ「かわいい」「楽しい」だけでなく、少しだけこの歴史を思い出してみてください。

目の前にいるクマたちは、観光地の動物というだけではありません。

阿蘇の地で長く暮らし、災害を越え、今もスタッフに守られながら生きている存在です。

そう思って見ると、
「カドリー・ドミニオン」という名前が、少しだけ深く感じられるはずです。

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