別府の「地獄めぐり」、なんで”地獄”って呼ぶの?気になって調べてみた

「地獄めぐり」って名前、最初に聞いたとき、なんかこわいな…と思いませんでしたか。

大分に住んでいる私も、子どものころから「地獄、地獄」と聞いていたので感覚がマヒしていましたが、よく考えると相当なネーミングです。

気になって、ちゃんと由来を調べてみました。


そもそも「地獄」って何?

仏教でいう「地獄」は、生前に悪いことをした人が死後に落ちていく場所のこと。様々な苦しみを受ける、おそろしい世界です。

日本人はその言葉を現世のものになぞらえて、活火山や温泉地などで高温の蒸気や熱湯が噴き出して危険を感じる場所を「地獄」と呼んできました。


別府が「地獄」と呼ばれるようになった理由

別府市の鉄輪・亀川エリアは、千年以上も昔より噴気・熱泥・熱湯などが噴出していたことが「豊後風土記」に記せられ、近寄ることもできない忌み嫌われた土地 Beppu-jigokuでした。

豊後風土記というのは奈良時代、8世紀に編まれた大分の地誌。つまり1,300年近く前から、この場所の「地獄ぶり」が記録されていたということです。

いたるところから熱湯や噴気が噴き出し耕作も困難だった当時の状況が地獄のイメージと重なったために「地獄」と呼ばれるようになった Tosonlineとのこと。

農業ができない。近づけない。地面からは熱湯と蒸気が噴き出す。

そりゃ、地獄と呼ぶわ、と納得しました。


「呪われた土地」が観光地になったのはなぜ?

忌み嫌われた場所が、なぜ今や年間100万人以上が訪れる観光地になったのか。

明治時代に遊覧施設を整え2銭の入場料を徴収したことをきっかけに、観光としての「地獄めぐり」が始まりました。 THE GATE

「地獄を見に来てください」という発想の転換が、すべての始まりです。「別府に行けば地獄を見ることができる」という噂を聞いて好奇心を掻き立てられた人々が全国から集まるようになり Tosonlineました。

怖いもの見たさ、というのは昔も今も変わらないんですね。


7つの地獄、それぞれの個性がすごい

現在の地獄めぐりで巡れるのは7つ。それぞれに名前と由来があります。

① 海地獄

約1300年前、鶴見岳の噴火によって誕生したといわれています。地獄とは思えないコバルトブルーは一瞬にして目を奪われる美しさです。一見涼やかな色ですが、泉温は98度で深さは200mもあり、まさに地獄。 Beppu-tourism

コバルトブルーの色は、温泉成分の硫酸鉄が溶けているから。地獄めぐりの中でも最大規模で、国の名勝にも指定されています。

② 血の池地獄

真っ赤なお湯が不気味に湧き出す地獄。8世紀の「豊後国風土記」をはじめ、17世紀末期の紀行文にも記述が見られる Bunka、最も古くから記録されている地獄のひとつです。赤い色は酸化鉄の成分によるもの。

③ 龍巻地獄

別府市の天然記念物にも指定された、噴出が30〜40分間隔という極めて短い間隔で吹き出す貴重な間欠泉。実際は50メートルほど噴き出す力があります。 Chinoike

安全のために屋根でせき止められていますが、屋根がなければ50mも吹き上がるというのがすごい。

④ かまど地獄

古来より氏神の大祭に地獄の噴気で御供飯を炊いていたことから Bushikakuこの名前がつきました。1〜6丁目まで6種類の異なる地獄が楽しめる、地獄の「詰め合わせ」のような場所です。

⑤ 鬼山地獄(別名:ワニ地獄)

1923年、日本で初めて温泉を利用したワニの飼育施設が開始されました。約80頭ものワニが飼育されていて、その迫力には驚きを隠せません。 Beppu-tourism

温泉熱でワニを飼う、という発想がなかなかぶっ飛んでいます。

⑥ 鬼石坊主地獄

灰色の熱泥が沸騰する様が坊主(僧侶)の頭のように膨れる Chinoikeことから、この名前がつきました。ポコポコと沸騰する灰色の泥は、なんとも不思議な見た目です。

⑦ 白池地獄

無色透明だが池に落ちると温度と圧力の低下により青白く色が変化する不思議な現象 Chinoikeが見られます。温泉熱を利用した熱帯魚館も併設されており、アマゾンの巨大魚ピラルクまで見られます。


大分に住んでいて気づいたこと

調べてみて、改めて「別府ってへんな場所だな」と思いました。いい意味で。

地面から熱湯が噴き出す場所が7か所も密集していて、しかもそれぞれ色が違う。青、赤、白、灰色…。同じ「地獄」なのに、まったく違う顔を持っています。

大分県に来れば、世界中にある温泉地に行ったのと同じ Visit Oitaと言われているのも、こういう多様さが理由なんだと思います。

1,300年前の人たちが「近づけない呪いの土地」と恐れていた場所が、今や世界中から観光客が来るスポットになっている。そのギャップが、なんだかおもしろいなと思います。


まとめ

  • 「地獄」の名前は、仏教の地獄のイメージと噴気・熱湯が噴き出す光景が重なったことから
  • 1,300年以上前の「豊後風土記」にすでに記録がある
  • 明治時代に観光施設として整備され、「呪われた土地」から「見に来る場所」へ転換
  • 7つの地獄はそれぞれ色・形・由来が異なり、個性がある
  • 海地獄・血の池地獄・龍巻地獄・白池地獄の4つは国の名勝に指定

機会があれば、ぜひ実際に歩いて回ってみてください。定期観光バスを使えば、七五調のガイドつきで2時間半ほどで全部まわれます。

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